ほやほや

昨夜も手洗いとうがいをしてちーちゃんの病室に行ったら、ちーちゃんときたみと赤ちゃんがいた! 新生児室は午後の二時間しか開いてないから、私は土曜日にならないと見られないと思い込んでいたから嬉しかった。分厚い白タオルにくるまれた赤ちゃんは羽のように軽かった。この世に存在して実体のあるものとは思えない軽さだ。眠っていて、たまにふにゃーにゃって言ったり、足を動かしたりしていた。ものすごい存在感だ。物量は無いくせに、なぜか存在感はすごいのだ。というか、あちらではただそこにいるだけなんだけど、こちらが引きつけられてしまうというほうが正しいようだ。一目見たときにはすでに、私の抵抗感が抹殺されてしまっている。抵抗力無しになった心のたゆたう戸惑いは一瞬もなく根こそぎ歪めて引き寄せる重力井戸。この認識された、実体と存在感の、下界ではありえないアンバランスを易々と受け止め切ってしまった私は、ズギューン! と心が壊れた。
 つまり、生まれたて赤ちゃんに会ってぽーっとしていた20分間だった。ちょっと前に、やはり生後間もない赤ちゃんを見たという大宮ちゃんが、生まれたて赤ちゃんはそれはもうかわいい、この世のものではない天使みたいなんだと力説していたのを、へー。と聞いたのだが、いったい何を伝えてくれたかったのかがやっとわかった気がした。