幕で満ちていた

 最近読んだステキな本は「ヒューゴー賞傑作集No.1アイザック・アシモフ編)」。新書の大きさのペーパーバックの昭和40年の初版で、綺麗な古本なんだけれどもカバンに入れると丸まってしまいそうで手荒にできない。収録されている「あるいは牡蠣でいっぱいの海」という作品を読んでみたくて求めた本なのだが、一回読み終えた今は「時代遅れの名優」という話が一番好き。この時代のSF作家はSF作家である前にちゃんとした小説家なのだなあってしみじみと尊敬してしまう。
 この日は名古屋の友達tomoちゃんが東京に来たので会いに出かけた。何時間か時間があいてるというので一緒に六本木ヒルズに上ってみた。pnoにとっては横浜の臨港パークで海を見ることの次くらいに眺めが好きなところ。しかしあいにくの雨でタワーが濃い霧に包まれており、展望階に着いたとき窓の外が真っ白だった。窓に白いシルクスクリーンが下りてるのだと素で思った。このまま過去に飛ばされるSF映画の中に迷い込んだかのように、それか、あまりに白すぎて途中で見るのやめた映画「NOTHING」並みに、超真っ白。タワーを取り巻く霧が高速度で流れる合間に東京タワーの足元が見えたときがあって、見えた見えた! って凄い盛り上がった。写真は健気にも景色の撮影を試みるtomoちゃん。