夜明け

 とうとう携帯に2ちゃんねる閲覧用ブラウザを入れてしまった。メールも日記も2ちゃんねるも携帯でできるということになると、私にとりPCはどういう存在に変化しつつあるのだろう。もともと、いつでも何にでも使えて思いついた瞬間に実行することができるメカなツールっていうのをこそ毎日の現実に必要としてる私にとって、既に、とりわけ「デスクトップPC」ってもう必要無い存在なんだろうか?
 そう考えると淋しくなるのはデスクトップ型にはノートPC、携帯にはないものがあるからだ。始めに手に入れたセット価格のPC一式から、時を経るごとにディスプレイを買い換え、キーボードを買い換えて、最後には本体を買い換えてしまったとしてもそこに繋がれるのは既に買い換えてある周辺機器。生物が細胞を次々置き換えても総合体としての個を保っていくことに似た意味で、デスクトップPCのある片隅には場所としての永続性がある。……だけど、ずっと立ち上げていないPCの置いてあるそんな片隅って廃屋のある跡地のよう。なーんか人間の愚かさみたいなものを感じさせられて、そんなふうにして放っておくようなやつもつまらない人間なんだろうなあって思っちゃう。これが、人の訪れなくなった書斎、埃の積もった本棚、擦り切れたラグにソファならまだ全然すてきなのに。こ、このへんがアナログとデジタルの間の越えられない差異かしら。未来ってものは、地球にはまだ来ていないのかもしれない。