王の帰還

 三時間以上が全然長く感じなかった。本当はもっと沢山のはずの内容が圧縮されて詰め込まれているから、考えるときはどの部分の事を思い出したらいいか迷って困るくらいだ。
 勝ち目の無い戦いに賭ける事、何をどう考えても無理な敵なのに立ち向かっていく、真っ直ぐに騎馬を駆る、持ち場を離れずに破壊槌で打ち破られる城門を守る人間の兵達の一人である事があそこに居たら自分にちゃんとできるだろうかって考えてしまう。戦いを見ているときはずっとその中にいた。そして今の自分はこんなふうにして何と戦うべきなのだろうか。戦い方、戦う気持ちを教えてくれたけれども私が何と戦えばよいのかを、物語は教えてくれない。