立春

 仕事を終えて家へ一度戻ってから(同じ電車に乗って来たらしく改札のあたりで合流。丁度良い)バスで区役所へ出かけ、守衛室に婚姻届を出してきた。帰りは地元の手羽先屋(風来坊)へ。手羽先と梅酒と梅酒ソーダで乾杯したあと、無言で初手羽先を食べる。手羽先はおいしい! わかさぎフライも食べた。わかさぎって懐かしい味がする。子供だった昔や、実家がおうちだったあの頃にはもう戻れないんだ。そういう懐かしい味。独身だったら実家を離れていることが只淋しくどこまでも不安なことだったけれど、結婚した今夜、暗闇に小さい灯が点ったような、見て触れられる物質の姿をした希望ってものを見つけた、というような感覚を覚えている。