虐殺器官

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

 伊藤計劃の「虐殺器官」。
 この人の本を読もうと思いつつ読まないままでいたんだけど、最近「ハーモニー」がアメリカのSF賞「フィリップ・K・ディック賞」で次点に当たる特別賞を受賞したというニュースを見てやっと図書館で借りて読んだ。
 私より2歳上の同世代だからなのか、私がSFって言葉から連想する広範囲にわたるものを……例えば、古本屋や新宿本店の紀伊国屋書店なんかで手に入れた、ハヤカワSF文庫のいくつものアメリカのSF小説、高校生の頃小遣いで買っていたSFとファンタジーの雑誌の投稿ショート・ショートコーナー、一人暮らしの15インチブラウン管テレビデオで観た攻殻機動隊、ケーブルTVのアニメから感化され大人になって読破した銀河英雄伝説、などまで含めふっと思い浮かばせられ、同じ日本人だからなのかと嬉しいような気持ちになる。
 内容に関わらず読みやすくて分かりやすく、むしろ自分の頭がよくなったような気にもなるような、多くの人に読んでもらえそうな文章なのに、今日本にもこんなSF作家がいるんだよって世界に誇れるまぎれもないSF小説。実写でもアニメでも、映画化されたらいいなぁって思う。
 もっとずっと作品を読みたかったと思い、こんな作品を書く人が現れただけではなく消えてしまったのかと思うとマジでしんみりする。

伊藤 計劃(いとう けいかく、1974年10月14日 - 2009年3月20日)は日本のSF作家である。2007年に作家デビューしてからわずか2年ほどでガンのため早逝したが、その作品はゼロ年代日本SFのベストに挙げられている[1]。―ウィキペディアより