ボヤ

 
 フェイがちりちりになった。
 今朝未明にフェイがガタンガタンって暴れる音がして、寝室に戻ってきた。うるさいから布団の中に回収しようと探すと箪笥の裏の暗がりに逃げ込んでいる。触ったら逃げた。そして幼いころ/放課後の音楽室/ストーブの前の柵に干したはずの毛糸の手袋が焦げてしまった匂い。ためしにもう一度捕まえてみたフェイは、じゃりじゃりする。そしてこげ臭い。フェイが燃えた? でも火気? と寝ぼけながらも一応台所へ行き覗いてみると、暗闇の中二つ口コンロの手前のが点火しており、点火してないほうのコンロに乗せていた小鍋にかぶせていた大きな木のなべぶたのはしっこにそれが燃え移り、なべぶたがぽうっとろうそくの炎のように燃えていた。燃え始めて時間は経っていない風だったから、フェイがコンロに飛び乗ろうとした→踏み外して点火スイッチを踏んで火がつく→フェイ燃える→フェイ逃げる→なべぶた燃える というなりゆきだったようだ。眠るときもきちんと元栓閉めないと、あとこまめに点火ロックをしておくようにする。フェイは今朝までは胸のふわふわの部分が全体的にじゃりじゃりだったけど、夕方帰宅してみるとそこは元に戻っていた。ヒゲが元に戻るまでは時間がかかりそうだ。